研修期間の時給は下げられる?最低賃金と減額特例の確認方法

研修期間や試用期間でも原則適用される最低賃金と、例外的な減額特例、給与明細・労働条件の確認方法を解説します。

この記事のポイント

  • 検索した疑問に対する結論を最初に確認できます。
  • 判断するときの具体的な確認項目を整理できます。
  • 次に取る行動を順番に検討できます。

「採用おめでとう! うちは最初の3ヶ月は研修期間(試用期間)だから、時給はマイナス100円になるけどいいよね?」

面接の最後や、採用後の契約時にさらっと言われるこのセリフ。 「まあ、仕事を教えてもらう立場だし、最初は安くても仕方ないか……」と納得してしまっていませんか?

ちょっと待ってください。 その「研修中の時給」、あなたの住んでいる地域の「最低賃金」を下回っていませんか?

もし下回っていたら、それは完全な法律違反です。 たとえあなたが「はい、いいです」と同意して契約書にサインしていたとしても、その契約は無効になります。

今回は、意外と知らない「研修期間中の給与ルール」と、知らずに働くとどれだけ損をするのか、正しい計算方法を解説します。

実は多い勘違い。「研修期間だから安くて当たり前」ではない

まず、基本的なルールを押さえておきましょう。 会社が「研修期間(試用期間)中は給料を少し低く設定する」こと自体は、実は違法ではありません。

「まだ一人前ではないから、その分給料を抑える」という理屈は、法律上も認められています。

しかし、ここには絶対に守らなければならない「床(フロア)」があります。 それが「最低賃金」です。

最低賃金とは、国が定めた「これ以下の金額で人を働かせてはいけません」というルールのこと。 これは、正社員、アルバイト、パート、そして「研修生」であっても例外なく適用されます。

「研修中だから」「見習いだから」という理由で、最低賃金より1円でも安くすることは許されません(※特例許可を受けている極めて稀なケースを除く)。

たった50円の差でいくら損する?

「まあ、最低賃金を数十円割っていたとしても、研修期間だけの話でしょ? 細かいことを言うのも面倒だし……」

そう思うかもしれません。 しかし、その「数十円」を甘く見てはいけません。 3ヶ月や半年続けば、欲しかったゲーム機が買えたり、旅行に行けたりする金額になります。

具体的に計算してみましょう。

▼ 条件 ・あなたの地域の最低賃金:1,050円 ・会社の提示額(研修期間):1,000円 ・勤務条件:1日8時間 × 週5日(月約160時間勤務) ・研修期間:3ヶ月

この場合、あなたは時給あたり「50円」の違法な賃下げを受けていることになります。

【損失額の計算】

研修期間の賃金を相談するイメージ

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1ヶ月の損失 50円 × 160時間 = 8,000円

研修期間(3ヶ月)の損失 8,000円 × 3ヶ月 = 24,000円

いかがでしょうか。 たった3ヶ月で「24,000円」も損をしています。

会社側は、あなたを一人雇うだけで24,000円の人件費を違法に浮かしているわけです。 これが10人いれば24万円。会社にとっては「うまい汁」ですが、あなたにとっては「タダ働き」以外の何物でもありません。

あなたの給料は大丈夫?3ステップでチェック

「自分の給料が怪しい気がする……」 そう思ったら、今すぐ電卓を出して計算してみましょう。

ステップ1:厚生労働省の地域別最低賃金一覧で確認する 最低賃金は都道府県ごとに定められ、改定されることがあります。検索結果の古い数値ではなく、厚生労働省または都道府県労働局の最新情報を確認しましょう。

ステップ2:時給制(アルバイト・パート)の場合 これは簡単です。自分の時給と、ステップ1で調べた数字を比べるだけ。 ・自分の時給が適用される最低賃金を下回る場合は、減額特例の許可など例外の有無を確認する必要があります。

ステップ3:月給制(正社員・契約社員)の場合 少し複雑ですが、以下の計算式で「時給換算」します。

【計算式】 (月給 - 通勤手当 - 精皆勤手当 - 家族手当) ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間

※ポイント ・「交通費」や「家族手当」は引いて計算します。 ・「固定残業代」が含まれている場合は、それも引きます。

例:月給17万円(交通費込み、手当なし)、月170時間労働の場合 (170,000円 - 交通費10,000円) ÷ 170時間 = 時給941円

もし、あなたの県の最低賃金が950円だとしたら、月給17万円もらっていても「違法」ということになります。

もし最低賃金を割っていたらどうする?

計算の結果、最低賃金を割っていた場合、あなたには以下の権利があります。

差額を請求する権利 法律上、最低賃金を下回る契約は無効となり、自動的に「最低賃金と同額」で契約したことになります。 つまり、先ほどのシミュレーションで言えば、会社はあなたに未払いの24,000円を支払う義務があります。

会社に通告する、または労基署に行く 「計算してみたのですが、最低賃金を下回っていませんか?」と会社に確認してみましょう。まともな会社なら「計算ミスだった」と修正してくれるはずです。 もし「うちは研修だからこれで決まりだ!」と開き直るようなら、労働基準監督署に通報案件です。

入社前なら「辞退」が賢明 もし働き始める前に気づいたなら、その会社への入社は考え直した方が良いでしょう。 給与の基本中の基本である最低賃金すら守れない会社が、残業代や有給休暇などのルールを守れるはずがありません。

まとめ:「研修中」という言葉に惑わされないで

  • 研修期間中でも、最低賃金を下回ることは違法。 ・月給制の場合でも、時給換算してチェックが必要。 ・違法な安月給で働くことは、自分を安売りすることと同じ。

「仕事を教えてもらう」というのは、給料を不当に下げていい理由にはなりません。 労働契約は対等なものです。

もし今の待遇にモヤモヤしているなら、一度計算機を叩いてみてください。 そして、「やっぱりおかしい」と思ったら、最低賃金以上が保証された、もっとホワイトな求人を探してみるのも一つの正解です。

※個別の労働条件や法的判断は事情によって異なります。困ったときは労働基準監督署、労働局の総合労働相談コーナー、弁護士などへ相談してください。

最低賃金と研修条件を整理するイメージ
確認のポイント

研修期間・試用期間という名称だけで最低賃金を下回る賃金にできるわけではありません。減額には都道府県労働局長の許可が必要で、対象・期間・減額率にも要件があります。現在適用される最低賃金は厚生労働省の地域別最低賃金一覧で確認してください。

参考にした公的情報

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